黒酢の製造法
カメ壺による製造法は、玄米、麹米、水、種酢を仕込んだ壺を露天で太陽の光を半年から一年かけて当て、1つの壺の中で糖発酵、アルコール発酵、酢酸発酵をも同時に行う複合醗酵という手間ひまのかかる方法です。仕込みの材料の割合は三斗入りカメ壺の場合、種酢0.5リットルを底に、麹米4.14リットル、玄米9リットル、水28.8リットルを加え蓋麹をします。カメ壺が大きい場合は同じ割合で増やします。
まず、一昼夜つけた玄米を一時間程度蒸すことから作業が始まります。蒸した玄米をひろげてさまし、種酢と麹をいれたカメ壺にその玄米を加えます。そして、水をいれて蓋麹をし、雑菌進入を防ぐためのカメ蓋をします。約半年経つと、糖醗酵、アルコール発酵、酢酸発酵が同時に行われ製品として出荷できますがまろやかなうまみをだすため更に半年寝かせます。この間、それぞれのカメ壺の醗酵状態をみるために二週間から一ヶ月に一回程度、カメ壺の蓋をあけかき回し酢の育ち具合を調べます。畑の野菜が一つ一味や形、出来具合が異なるように、この玄米黒酢も同じ条件で生産されても、酸度や味が微妙に異なるといいいます。製品化にあたっては、品質をある程度一定させるために途中で大壺に移されます。こうして完全なものとなった玄米黒酢は、絞り、ろ過の工程を経て、びん詰めされて製品として出荷されていきます。
こうした種々の工程や条件がそれぞれの製品の味や香り、そして成分などを決めていくわけですが、玄米黒酢の味覚・品質に最も大きな影響を与えるといわれているのが「種酢」です。種酢は、何十年もの黒酢づくりのなかで、毎年何千個ものカメ壺の中からわずかに突然変異的にうまれる「超優良玄米黒酢」で、この種酢を加えることによって各社伝来の品質と味覚が受け継がれているのです。