食酢の種類
食酢は製法によって「醸造酢」「合成酢」「混合酢」「果実酢」に大別されます。醸造酢のうち福山町の黒酢は玄米を原料として、糖醗酵、アルコール醗酵、酢酸醗酵の3つの工程を、こうじ菌、酵母菌、酢酸菌の助けをかりて、くぐりぬけ作られます。
玄米黒酢のような本格醸造ですと、壷を静置して広い場所と一年近くの時間を要しますのでなかなか大量生産ができません。
1.アルコール酢
一般の食酢の大半の醸造法がこのアルコール酢です。少しの穀物と大半のアルコールを原料として、水で薄め酢酸菌に必要な栄養源を入れ、最後の酢酸発酵の工程だけを行わせ酢を即製します。原料はほぼアルコールなのでアミノ酸や酢酸以外の有機物はほとんど含有されていません。一応、酢酸発酵という醸造工程を経ているの醸造酢と名乗ることができます。
2.かす酢
日本酒を搾ったあとのかす、酒粕は8%前後のアルコールや未分解の炭水化物が含まれており、これを三年間密封貯蔵して自己消化させたものを水にとかして粥状にし、再びアルコール発酵させ、さらにアルコールを添加して種酢を加えて酢酸発酵させ酢に仕上げた物です。
これはアルコール酢に比べ、アミノ酸や有機物を多く含んでいますが、何しろ日本酒として栄養になるエキス分が抜け出しているので、玄米黒酢ほどではありません。
3.リンゴ酢、ワイン酢
醸造酢のひとつにリンゴ酢とかワイン酢など、果実より作ったすがあります。リンゴ酢はよく熟したリンゴ汁をアルコール発酵させ、さらに酢酸発酵させて作ります。アメリカでは、アップルヴィネガーと呼び最も多く生産されている酢です。また欧州では、ワインヴィネガーと呼ばれるワイン酢の生産が最も多く、ブドウ汁よりブドウ酒を作り、酢酸菌を作用させて得られます。
ともに含まれる糖分が酢酸に変わっていくのですから、米酢にみられた最初の糖発酵の工程が省略されており、また果実にはほとんどタンパク質が含まれておりませんので、良質のアミノ酸は少ないです。